喫茶店に入ると、息も絶え絶え。
 普段はこんな所昼にはこないんだけど、今日はしょうがない。カスミごめん。

 「……で。まず、新田さんは何か言ってきた?」
 「何も言われてません。この間の話以降会ってないし。」

 「ホントに、周りから固めてきたわね。よほどの自信があるんだね。フラれるという選択肢がないと思ってるというか、フラレないようにしてるんだろうけど。」
 「……私、新田さんを勘違いしていたかも知れない。」

 「そうじゃないでしょ。雫の反応も悪くないから、勝負に出たんだよ。このままじゃ、いつ誘っても社交辞令扱いされかねないし。気持ちはわからんでもない。沢渡さんもうるさいし、時田はにらんでるし。ま、新田さんは相手にしてないけどね。クラスが違う。実は飲み会であんたを狙ってる営業が2課の新田さんの同期にもいたみたい。アノ仕事出来る人だよ。だから、牽制したんでしょ。」
 どうしてかわからないけど、ちっとも嬉しくない。以前だったら、モテモテかもとか少しは感じたのに。

 「……モテ期が来てるのかな?」
 「雫、大丈夫?うつろだよ、目が。」

 「うつろにもなるって。朝から後輩や上司にもいじられて、針のむしろだよ。」
 「本当の針のむしろはこれからでしょ。親衛隊や新田さん本人から絶対連絡来るよ。」

 そう言ったら、メールが来た。
 新田さんからだ。ごめんね、だとー!許すまじ、新田さん。

 話があるから、帰り待ち合わせたいと言ってきた。
 カスミに話すと、とりあえず夕飯たべるだけならいいんじゃない?と言う。

 そういえば、土曜日の泊まりの話と言い出したところで、他の営業事務に見つかり、撤退。