いいなぁ、青春してるなぁ……。

 葉月は可愛くて愛嬌も会って優しくて、欠点を見つけるほうが難しい。

 無自覚なのも、可愛いし……。

 そんな葉月はきっと、すぐ好きな人と付き合えるだろうな。

 それなら私も嬉しいし、自分のことなんてどうでもよくなる……だろう。

 でもやっぱり、はっきりとは言えないなぁ。

 幸せそうな葉月の背中を見送り、背後から聞き慣れすぎた声をかけられる。

「茉優、帰るか。」

「……そうだね。あ、そういや今日は家くるの?」

「あぁ、寄らせてもらう。貸した漫画返してもらいたいし。」

「分かったよ。まぁ、読んだしいいけど。」

 いつも通りの会話をして、二人で帰路につく。

 これまで通りと一緒。何も変わらない。

 きっとこれからも、変わらないんだ。

 ……っ。

 そう考えると、心臓が締め付けられられるように痛む。

 泣きそうになったけど、泣くなんて私の柄じゃない。

 ぎゅっと下唇を噛んで泣かないように努める。

「……そういえばさ、もうすぐバレンタインだよね。」