「やひ……私で、いいの?」

 私は素直に喜べないんだろうか。

 こんな事聞くなんて、私って結構面倒なタイプなのかもしれない。

 そう思うには、十分だった。

 恐る恐る、微かに震えた声で尋ねる。

 するとやひは、間髪入れずにはっきりと答えてくれた。

「もちろん。言ったろ? 茉優が好きだって。茉優だけしか見てないって。」

「……そ、っか。よか、った……。」

「茉優ってそんな泣き虫だっけ?可愛い。」

「可愛くなんかないしっ……。」

「はいはい、可愛いから拗ねんな。」

 私の言葉は届かなかったのだろうか、と思う。

 抗議の言葉を無視したやひは、やっぱり真剣な瞳で私を見つめてきている。

 その中に、甘いものがあるのも分かる。

 そのおかげなのか、嘘じゃないってやっと分かった。

 やひは私をからかっているわけでもなく、遊んでいるわけでもなく、ただ本当に好いてくれているんだって。

 そう考えれば、疑うほうが逆に失礼になってきた。

「なぁ、茉優。」

「何?」

「あのチョコさ……あとでもらっても、いい?」