甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

 その直後に、やひは静かに話し始めた。

「俺、ずっと前から茉優のこと好きだった。でも、茉優を怖がらせるだけだから言わないようにしてたんだ。関係を壊したくなかった。だから、言えなかったんだ。」

 ……そんな事、あるの?

 こんなに都合が良い事、起こっても良いんだろうか。

 まさかそうなるとは思わず、瞬きを繰り返す。

 そんな私に、やひはふっと微笑んだ。

「ずっと茉優しか見てなかったし、茉優しか見えてない。だから、茉優がそう言ってくれるなんて思ってなかった。俺の気持ち、知らなかっただろ?」

「そ、それはそっちもでしょ……! 私、ずっと本命渡してるつもりだったのに、やひは全然気付かないし……。」

「……そうだな、お互い様だな。でも今はっきり分かったよ、茉優が俺のことちゃんと意識してくれてたんだって。」

「……そりゃ、意識してなきゃ言わないし。」

「流石茉優、相変わらずつっけんどん。そんなとこも好きだけど。」

 やひって、こんな簡単に口説くタイプだっけ……。

 なんて思いながらも、やひがまさか私と同じ気持ちだったなんてと驚く。