甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

 ……もしかしなくても、私やっちゃった……?

 待って、今口滑らせたよね……っ。

 私、言えないって……変な事、言ったよね……?

「……茉優。」

「やひ、まっ……ふにゃっ!?」

「何が、言えないって?」

 やひ……何、して……っ。

 慌てて離れようとしても、やひに腕を回されている。

 つまり簡潔に言うと……やひに、抱きしめられているという状況。

 その上、やひに強引に視線を合わせられている。

 真剣なやひの瞳と交わって、息を呑んだ。

 やひの瞳、この前と同じ……。

 男の人だと、意識させられてしまう。

 私が何も答えないからか、やひが催促するようにもう一度尋ねてくる。

「何が言えないって、言ったの?」

「あ……そ、れは……。」

 こんなにすぐ、チャンスとピンチが来るとは。

 もごもごと口ごもるも、言う事は正直一つしか思いつかない。

 もう全部、言ってしまおう。

 ヤケになってしまったのか、私は意外にもあっさりと口に出してしまった。

「わ、私はやひが、す、好きなのっ……!」

「…………は?」

 ぽかんと、現状を理解していない様子のやひ。