甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

「何で、チョコ作ってんの?」

 ……やっぱり、聞かれるよね。

 当たり前だ。やひには、チョコ作らないって言ってるんだから。

 どう言えば正解? 私はどうすればいい?

 どうしようもなくなって、私は何も言えなかった。

 どうしたら、いいんだろう……。

 喉に言葉が詰まって、上手いように出てこない。

「や、ひっ……。」

「茉優……!? ど、どうしたっ……!?」

「……やひの、馬鹿ぁっ……!」

「は……?」

 気付いたら、私はやひに抱き着いていた。

 ポカポカと、涙を流しながらやひを殴る。

 そこまで力はないから、痛くはないと思うけど。

 私の胸の痛みは、表せない。

 何で今来ちゃうの……何で、分かっちゃうの……。

 せっかくバレないように、頑張ってたのに……。

 せっかく……。

「これじゃ、やひに言えないじゃんっ……!」

 チョコと一緒に言いたかったのに、これじゃあ台無し。

 行き場のない後悔が、涙と一緒に零れ落ちてくる。

 だけど、言ってしまった後に自分がやらかした事の大きさに気付いた。