俺の幼馴染は、警戒心がなさすぎる。

 いつも、そう思ってしまう。

「やひ~、戸棚にあるキャラメル取って。」

 今日も今日とて、彼女は分かっていない。

 ……俺がどれだけ、我慢してるか。

 俺は昔から……いつからなんて覚えてないけど、ずっと前から茉優のことが好きだ。

 茉優はその気持ちに気付く素振りもなく、俺を幼馴染として扱っている。

 ……それが、俺にとっては不満だった。

「ん。紅茶入れていい?」

「いいよ~。」

 平静を保ち、いつもの調子で言葉を交わす。

 茉優は、完全に気を許しているのかソファでのんびりしていた。

 あーもう……ここにいるのは男なんだぞ。

 茉優にとっては、俺は友達とかと同じ部類なんだろうけど……それだけじゃ、満足できない。

 俺だけを特別扱いして、もっと男として意識して、今よりも深い関係になりたい。

 ……そう思ってるのはきっと、俺だけなんだろうけど。

 ずっと近くに居るから、分かる。

 俺を異性として見てくれる事なんてないだろうし、ましてや恋人になれるなんて……夢のまた夢。ただの、淡い幻想だ。