今度こそ泣いてしまいそうに瞳が潤んでいる葉月を、何とか宥める。

 そんな葉月を見ながら、何だか喝を入れられた気になった。

 ……今年も、ダメだと思うけど。

 でも、いつまでも引きずってちゃいけない。

 私もそろそろ、この恋に終止符を打たなきゃ。

 もう高校生だし、これ以上叶わない恋を持っててもダメだ。

 振られるって分かっている恋は、辛い。

 だけど……頑張らないと、ダメだ。

「私、今年はちゃんと告白しようと思うんだ。今まではチョコに頼って、逃げてたばっかりだし。」

「だ、大丈夫なの……? 流石に私もそこまで強要しないよ……?」

「ううん。大丈夫。」

 心配そうに眉の端を下げている葉月に、そうはっきり言う。

 もう決めたから。今年で終わらせるって。

 だから……。

「葉月も、実るように頑張ってね。」

「……う、うんっ!」

 一瞬きょとんとした葉月だったけど、意味が分かったのかぱあっと顔を輝かせる。

 ……やっぱりこの子、天使。

 本気でそう思いながらも、まだほんの少し不安があった。