小学生の頃から良くも悪くも仲が良くて、簡単に言うと腐れ縁。

 私がやひを好きになったのは、中二の時。

 それまでは私もまったく、やひを意識してなかった。

 私自身が仲が良い友達だと思ってたのに、それが180°覆った。

 きっかけは、ほんの些細な事。

「茉優!!」

 中二のお昼休憩、ちょうど今みたいな時間帯。

 その時に窓から思いっきり蹴ったのであろう、瞬足で飛んでくるサッカーボールがあった。

 これ絶対当たる……!

 受け身を何とかとろうとするも、あっという間にボールとの距離が縮まる。

 慌てて片手で頭を死守しようと、上げた時。

「……っ、へっ?」

「ったく……あぶねぇだろお前ら! だから校舎のほうには飛ばすなって!」

 直後にやひの声が聞こえた時の、私の体制。

 ……私、やひに抱きしめられてる。

 身を挺して私を守ってくれたんだろう……と、率直に思う。

 それだけなら私も、そこまで意識はしなかった。

 でもその次の瞬間に、やひが私の頭をさらりと撫でた。