いつものほほんとしている葉月だから、こんなにきりっとした顔ができるなんて。

 私がその事に驚いて呆然としている間にも、淡々と葉月は続ける。

「私だって、強要はしたくないよ。茉優ちゃんのことだから、私が首を突っ込んで良い事でもない。でもね……」

 一旦そこで切り、私の目を射抜いたように見据える葉月に、心臓が確信を突いたように鳴る。

「好きっていう気持ちを、止めちゃいけないと思う。」

「……っ。」

「…………あっ。」

 私が息を呑み、我に返った時と同時に葉月がしまったといったように手で口を抑えた。

「ご、ごめんね茉優ちゃんっ……! 私、偉そうだったよね……。それに、ここまで強引に連れてきちゃって……ほ、本当にごめんねっ……。」

 多分、今回の葉月の行動はほぼ無意識。

 その証拠に、心の底から申し訳ないといった表情を浮かべている葉月が目の前にいるから。

 今にも泣きそうな葉月は、私が思うよりも申し訳なさを抱いているんだろう。

 何だろうか、葉月らしいというか……。

 正義感が強く、他人をほっとけない葉月だからなのか。