『私は、手作りするのっ……。』

 ……と。

 そう言われるのは火を見るよりも明らかで、視線を葉月から逸らす。

 それと同時に、葉月の言葉が聞こえた。

「私は手作りするよ。先輩に、手作りを渡したいから……。」

 照れたように頬を染めた葉月の頭を、ほぼ無意識下で撫でる。

 あー……何故この子はこんなにも可愛いのでしょう。

 葉月の可愛さと純粋さを世の女子全員に布教したいくらい、この子は尊い。

 一方で葉月は、撫でられている意味を全く分かってないようで。

 きょとんとしているも、それもまた可愛い。

 だけど、少し気を緩め過ぎたのか。

「あっ、茉優ちゃん! ちゃんとチョコレート、千代河君にあげなきゃダメだからねっ! あげないと、私が連れてきた意味がなくなっちゃうから!」

「うっ……流石、葉月……。」

 抜かりない、やっぱりそう言ってきたか……。

 念を何度押されたか分からなくなり、反論するのも無謀なんだとやっと分かってきた。

 多分、ここで大人しく頷いておけば可愛い女子なんだろう。