心の中でそう悟り、もう無理だと思って私は白旗を上げた。

「分かったよ……買う、チョコ買うからっ……。」

「うんっ、その意気だよっ! それじゃ、チョコ売り場に行こうっ!」

 子供のようにはしゃぐ葉月を見て、苦笑を零す。

 本当、葉月はお人好し。

 いつもはこんなに強引じゃない。どちらかと言えば、私が引っ張ってる。

 だから、葉月に主導権を握られてるとは思ってなかった。

 だけど……葉月はそんなのもどうでもよくなるくらい、私のことを考えてくれてるんだよね。

 ここまで連れてきてくれた葉月に、少しだけ感謝する。

 チョコ買うだけでも、割り切れるかな……。

 渡すつもりは全くと言っていいほどないけど、ほんのちょっとだけポジティブに考えられるようになってきた。

「あっ、茉優ちゃんはチョコ作るの? それとも買って千代河君にあげる?」

「……どうしようかな、葉月はどうするの?」

 そういや、そういう事も考えなきゃいけないんだった……。

 ただ買うだけでもダメ、なんだよね。

 というかきっと、可愛い葉月はこう言うだろう。