だけど、あげたところでどうにかなるわけじゃない。

 いつも友チョコか義理チョコって思われている。

 ……私は、本命のつもりであげてるんだけどな。

「矢尋、さっきのシュート凄かったな! おかげで俺ら勝てたわ!」

「お前らも良かったと思うけどな。こっちにパスしてくれたおかげで入ったんだし。」

「さっすが矢尋! 心が広い!」

「うるせぇよ。」

 もうそろそろお昼休憩が終わるから、グラウンドで遊んでいた男子たちが帰ってきた。

 軽い雑談をしながら、笑い合いながら入ってくる彼ら。

 話を聞くに、サッカーの試合をしてたらしい。

 その中には……私が毎年チョコをあげている、好きな人がいた。

「お、茉優! 今日部活ないから一緒に帰ろうぜ。」

「……まぁ、いいけど。」

「何で不満そうなんだよ。」

「やひといると暑苦しいから。」

「どんな理由だよ。」

 そう言って苦笑した彼の名は、千代河矢尋(ちよがわやひろ)

 私は彼を“やひ”という愛称で呼んでいて、やひとは俗にいう幼馴染っていう関係。