甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

 思わず私は、足を止めてしまった。

「茉優が謝る必要ないだろ? 俺が勝手に、空回りしただけだし……。」

「え……?」

 私の顔を、少しだけ恥じらったような表情で覗き込んでくるやひ。

 そんな彼と視線が合い、何とも言えない気持ちになる。

 ……っていうか、空回りって……?

「や、やひっ、それってどういう――」

「何でもねぇよ。ほら、早く行かないと遅れるぞ。」

「あ、ちょ……!」

 何で、はぐらかすの……?

 やひの言葉の意味も、はぐらかす理由も分からない。

 幼馴染だから、やひのことは何でも知ってるはず……だけど。

 高校生にもなると、隠し事の一つや二つあるわけで。

 私も、やひに向けての気持ちを隠してるし……。

 完全には気持ちなんて分からない。

 何を考えてるの、やひは……。

 届かないような言葉を呟き、私は遅れを取り戻すようにやひの背中を追いかけた。



「……茉優ちゃん、やっぱり千代河君にあげたほうがいいよ! チョコレート!」

「い、いやだから……私はもう絶対あげないって……。」