甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

「今日はもう帰って! 今日のやひ、なんか変だから!」

 バタン!と勢いよく扉を閉め、荷物を持って自分の部屋まで駆け上がる。

 そのままベッドにダイブし、大きなため息を吐いた。

「はぁ……。」

 さっきのやひ、変だった。

 いつものやひじゃなくて、何て言うか……男の人、って感じがした。

 やひはれっきとした男子だって、頭では分かってる。

 私はやひが好き。それは揺るぎない事実。

 だけど、さっきのやひの表情は……。

 ――初めて見る、男性の顔だった。

 幼い頃からずっと一緒に居るのに、あんなやひの表情を見たのは初めて。

 いつも人懐っこく元気な表情なのに、あんなに大人っぽい表情もできたんだ……。

 ……っ、あぁもう!

 やひのせいで、さっきのやひのせいで、また好きが募る。

 足をバタバタをさせて、クッションに顔を埋める。

 うー、馬鹿やひっ!

 心の中で大きな声でやひに向かって愚痴を言い、私は否応なしに脈動している心臓をどうする事もできずにいた。



 翌日、いつも通りにやひと学校へと向かおうとする。