甘くて優しい青春恋物語 ~両片思いはチョコレートのように苦くて甘くて~

「それ、やひのこと好きな女子が聞いたら泣くよ?」

「別に泣かれても、俺にはどうする事もできないし。」

「まぁ、そうだけどさ……。」

 私、何思ってない事言ってるんだろう。

 やひが興味ないって、苦痛って言っただけなのに、喜んでいる悪い自分がいる。

 こんな事思っちゃ、やひのこと好きな子が報われない。

 やひの気持ちが分からないわけじゃないけど、恋する立場にとっては興味ないって言葉は禁句。

 メンタルがズタボロになって、行き場のない思いをどうすればいいか分からなくなるから。

 私も、その内の一人だ。

 私に言われたわけじゃないけど、少しだけ傷ついてるかも。

 喜んだり傷ついたり、自分の気持ちの変化についていけない。

 ……やっぱり、あげるべきじゃない。

「私、今年はチョコ作らないから。」

 気付けば、口から言葉が零れていた。

 言ってから数秒後に、何を言ってんだかと我に返る。

 こんな事やひに言ったって、何かが変わるわけじゃないのに。

 何でもない。そう言おうと、やひのほうを向いた時。