佐和は急に前のめりになり、谷と視線を合わせる。

「お話しますよ。〝あの人〟の動機を」

「あの、人…?」

「私は、母と呼ぶことを許されていなかったので。

いつもあの人って呼んでます」

「祐子さんの事をですか?」

「他にいないでしょ。

まぁ私も、あの人のことを母と呼ぶ気は全くなかったですけどね」