「あ、そう。勝手にすれば。でもエルビーナ皇女同様、その態度は改めてもらうよ?」
「うぐっ……わ、わかった……配慮に感謝する」

 フィル様はすっかり友人のような態度で、皇太子の相手をしていた。皇太子も態度が前より柔らかくなったようなので、しばらく様子見だろうか。

「うん、いいね。アイザック、手配を頼む」
「承知しました」

 フィル様はいつの間にかそばで控えていたアイザック様に指示を出して、バハムートとフェンリルをもとに戻し私の手を取る。いつもの穏やかな微笑みを浮かべて、完璧に私をエスコートしてくれた。

 その後、エルビーナ様から『お姉さま』と呼ばれ妙に懐かれてしまった。ことあるごとに私のそばに来るエルビーナ様に、フィル様の機嫌が急降下するのは別の話だ。