「パールヴァティー……私は貴女様のお顔を拝見し、この世で最も美しい女性を知ったのです……私は貴女様を手に入れようと決心した。随分と苦労して成し遂げましたよ……「破壊の邪眼」を「操る(すべ)」へと変えることに。あの琥珀は土星の輪を溶かした物……もうシヴァは気付いていたようですが……『星の欠片(カケラ)』と言われましたからな」

 シャニは諦めたように地べたに着き、胡坐(あぐら)をかいて溜息を零した。まるで自分を嘲笑うかのように。

「シャニ……残念だ。私も妻も憐みの視線など向けたつもりはない。が……そう思わせてしまった経緯は私に非がある。どうか……(ゆる)してほしい」

 そうしてシヴァは(いさぎよ)(こうべ)を垂れた。シャニは驚きで見開いた眼を震わせ、呆けたように口を開いた。これ程の所業を行ないながら、どうして復讐の炎を燃やさないのか、彼にはシヴァが理解出来なかった。

「もちろん妻に何かが遭ったのならば、そなたに何もしないでいられたかは分からぬがな」

 姿勢を戻し、付け足すように放った言葉は苦笑いを帯びていた。

 それを穏やかに見つめるパールヴァティーの瞳とかち合わせ、シヴァはにっこりと微笑んだ。彼女の腰に手を回し、ピタリと自分の身体に引き寄せる。