【砂の城】インド未来幻想

「ごめん……ナーギニー、ずっと苦しかったね……もう、君は解き放っていいんだ……家族のことも、自分のことも……」

 光の影は、いや……『光』は、ようやく全貌を顕わにした。

「お……前、どうやって……!?」

「――シャニ」

 『光』は後ろ姿のナーギニーと、言葉を失くしたシャニの前で立ち止まった。神々(こうごう)しく辺りを漂う黄金の波、それがやっと少女の身体に辿り着き、やがてその息遣いに静けさを取り戻させていった。

「シュリーが自分に糸口を与えてくれたのだ。随分長い間(あざむ)いてくれたものだな。目覚めればあんな『星の欠片(カケラ)』など、私に敵う物とは思えぬだろうに」

「くっ……シュリーだと? あの女はドールに喰い殺された筈……」

 悔しそうに言葉を零したシャニは、しかし『光』の向こうの円柱にもたれかかる美しい女性に目を留め沈黙した。

「お陰様でこの通り、「生きている」から安心して」

 身体を真っ直ぐに立て、シュリーはにこやかに笑った。

「貴様らっ……!!」

 憤怒の頂点に達した王は、怒声を上げながらもその脚は後ずさりしていた。それだけ『光』の持つ強い力が、そして其処から感じてしまう恐怖が、とてつもなく厖大(ぼうだい)であったから。