「さぁ、どうぞ。スリランカのカプセル・プランテーションから取り寄せた、厳選されたセイロン・ティーです」

 目の前に差し出された高級なティーカップの中で、赤みのある液体が彼女の心のように揺らいでいた。

「ありがとうございます……戴きます」

 何とか両手でカップを持ち上げ、唇に添わせるナーギニー。爽やかな酸味を帯びた茶葉の香りが、ほんの少しばかり動揺を落ち着かせてくれる。一口を含んで無事に茶器を戻し、強張(こわば)った頬で「美味しいです」と微笑んだ。

「今日の舞踊は最高に素晴らしかった!」

 王は少女の反応に満足し、そして日中得た満足の素を褒め称えた。

「ありがたき……幸せにございます……」

 腰掛けたまま深い礼を捧げる。