沢山の拍手で埋め尽くされた宮殿は、しばらくその様相を変えることはなかった。

 それもやがて静けさを取り戻し、中央に集められた少女全員に分け隔てなく、シャニの賞賛の言葉が投げかけられる。再び打ち鳴らされた幾つもの手に見送られ、少女達は興奮冷めやらぬ内に自室へ戻っていった。

 ナーギニーもまた部屋の扉を開き、一歩を進んだ囲われた空間にて、大きく息を吐き出した。自分はついにやり遂げたのだ……この満たされた想いは明日からの日々を耐える糧となろう。立ち尽くしたまま胸元の指輪にそっと手を添え、少女は化粧と汗を流す為に、髪をほどき浴室へ向かった。

 バラタナーティアムの髪飾りは、太陽や月、ジャスミンを模した宝飾などが用いられる。ナーギニーは侍女に本物のジャスミンを所望していた。その花びらを湯に浮かべ、自身を浸してすっと息を吸い込んだ。途端鼻腔をくすぐる甘い芳香が、イシャーナに投げ渡された真白い風景を目の前に映し出してくれた。