【砂の城】インド未来幻想

 結局ナーギニーは手に取った濃紺のサリーを選択し、一着分の長さに裁断された端をまつってもらう間、その中に纏うシンプルな黒のペチコートと、繊細な花紋様の施された淡いピンクの布地を選んだ。ブラウス用に上半身の採寸をされたのち、アレンジの効いたペチコートの前に(いざな)われる。どれもまるで舞踊衣装のように(あで)やかで華やかだが、少女は白地に淡い翠《みどり》の硝子(ガラス)玉が散りばめられた、可憐な一枚に目を奪われた。硝子と同色のサリーに、ペチコートと同じ白いブラウス生地を求めて、こちらも仕立てをお願いする為、全ての完成は明日まで持ち越されることとなった。

 やがて全員が事を終え、立ち去る王へ存分な礼を尽くした面々の半数は、昨日と同様に螺旋階段へ消えていった。後を静々と追いかけるナーギニーは、流石に警戒心を(ぬぐ)うことは出来ずにいたが、先程と同じく誰一人彼女を振り返る者はなく、一切の嫌がらせもなされずに自室へ帰り着くことが出来た。