「貴女には淡い色がお似合いだと思っていましたが、この濃紺も肌の白さが際立って麗しいですね」
鏡の端に身の半分を映し込んだシャニが、ねっとりとした眼差しで少女を褒め称えた。
「あ、ありがとうございます……」
慌てて振り向いたナーギニーは、さらりと落ちたその布を抱き締め、身を屈めて礼を捧げた。きっと王の背後ではサリーを選ぶ手を止めて、全員の悪意のある視線が我が身をねめつけているのだろう。そう思いながらおどおどと瞳を上げたが、意外にも誰の目もこちらを向いてはおらず、はしゃぐ声は騒がしく広間に響き続けていた。
「サリーが決まったら、それに見合うブラウスの生地を選んでください。採寸後、仕上り次第侍女に届けさせましょう。気に入るペチコートがあったら、ハーフサリーも作られると宜しいかと。最終日のお披露目を楽しみにしていますよ」
丁寧にこの後の指示をして、踵を返した笑顔のシャニは、再び少女達の輪の中へ吸い込まれていった。ハーフサリーとは、普段隠されているペチコートを、敢えて見せるように巻きつける短いサリーのことである。その為にペチコートには鮮やかな染めや飾り、サリーのような襞などの趣向がされている。その申し出に少女の心は光を帯びたが、どうしてシャニがあのように敬語を用いたのか、余りに不自然で気にかからずにはおられなかった。それは舞踊大会で特別に賞を与えられた後、初めて面前にて祝辞を与えられたあの時を思い起こさせた。
鏡の端に身の半分を映し込んだシャニが、ねっとりとした眼差しで少女を褒め称えた。
「あ、ありがとうございます……」
慌てて振り向いたナーギニーは、さらりと落ちたその布を抱き締め、身を屈めて礼を捧げた。きっと王の背後ではサリーを選ぶ手を止めて、全員の悪意のある視線が我が身をねめつけているのだろう。そう思いながらおどおどと瞳を上げたが、意外にも誰の目もこちらを向いてはおらず、はしゃぐ声は騒がしく広間に響き続けていた。
「サリーが決まったら、それに見合うブラウスの生地を選んでください。採寸後、仕上り次第侍女に届けさせましょう。気に入るペチコートがあったら、ハーフサリーも作られると宜しいかと。最終日のお披露目を楽しみにしていますよ」
丁寧にこの後の指示をして、踵を返した笑顔のシャニは、再び少女達の輪の中へ吸い込まれていった。ハーフサリーとは、普段隠されているペチコートを、敢えて見せるように巻きつける短いサリーのことである。その為にペチコートには鮮やかな染めや飾り、サリーのような襞などの趣向がされている。その申し出に少女の心は光を帯びたが、どうしてシャニがあのように敬語を用いたのか、余りに不自然で気にかからずにはおられなかった。それは舞踊大会で特別に賞を与えられた後、初めて面前にて祝辞を与えられたあの時を思い起こさせた。



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