流れくる朝のそよ風と共に、次々と思い出されるこの地へ来てからの出来事。孤独に苛まれていた筈の我が身は、しかしそうではないことに気付かされた。優しく見守ってくれるイシャーナの存在に、その懸け橋となってくれたナーガラージャ、先程のリスでさえ淋しい気持ちを忘れさせてくれた。そして……ナーギニーの為に身を引いたシュリー――会えなくともその存在こそが力となり、会える日を信じることが一歩を進ませてくれる――それを今一度胸に刻んで、少女は煌めく陽光に彼女の無事を祈った。
本日は午前に庭園の散策と、昨日と同様の昼食会、午後には大広間にてサリーの仕立てをしてもらえるという。昨朝と同時刻に侍女達が現れて、今回は散策を気軽に楽しめるようにとの配慮なのか、淡いレモンイエローのパンジャビ・ドレスが渡された。その色は「庭園の黄色い薔薇となれ」ということなのか――黄薔薇の花言葉は「ジェラシー」――もしそうであるならば、嫉妬の嵐は既に巻き起こっているであろうに――。
まるでもう何十日も繰り返されたルーティーンのように、朝食と湯浴みと祈りを終え、迎えに応じて扉の外へ出た。と途端、階上に集まった全員の視線が一同揃ってナーギニーを貫く。同時に賑やかだった筈の回廊は沈黙の波紋を漂わせ、それは明らかに責め立てるが如く少女の肌に突き刺さった。
本日は午前に庭園の散策と、昨日と同様の昼食会、午後には大広間にてサリーの仕立てをしてもらえるという。昨朝と同時刻に侍女達が現れて、今回は散策を気軽に楽しめるようにとの配慮なのか、淡いレモンイエローのパンジャビ・ドレスが渡された。その色は「庭園の黄色い薔薇となれ」ということなのか――黄薔薇の花言葉は「ジェラシー」――もしそうであるならば、嫉妬の嵐は既に巻き起こっているであろうに――。
まるでもう何十日も繰り返されたルーティーンのように、朝食と湯浴みと祈りを終え、迎えに応じて扉の外へ出た。と途端、階上に集まった全員の視線が一同揃ってナーギニーを貫く。同時に賑やかだった筈の回廊は沈黙の波紋を漂わせ、それは明らかに責め立てるが如く少女の肌に突き刺さった。



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