三時間弱の会食が終わりを告げた。

 ナーギニーも含め、まだ到着したばかりの少女が多いこともあり、本日の予定はこれにて終了と知らされた。一同は再び同じ道を、同じ順に戻り始める。が、軽快な足取りの少女達に対して、ナーギニーの歩みはゆっくりと重かった。

 そんな足先を見つめながら機械的に前進するナーギニーには、行きとは違う唯一のことに気付けずにいた。前を歩く全員が、チラチラと彼女を振り返っているのだ。その視線は冷たく鋭く、嫉妬と憎悪で歪んでいた。

 白宮の二階に部屋を持つメンバーが、静々と螺旋階段を上っていく。ナーギニーもぼんやりとしながらその後に続いたが、数段先で一人の少女が立ち止まったのは目に入らなかった。危うく背中にぶつかりそうになるも、何とか踏みとどまり慌てて謝罪をする。そのまま後ろへバランスを崩していたら、階下まで転げ落ちるところだったに違いない。

「す、すみません!」

 深く頭を下げたナーギニーは、上から降り注がれた耳を疑うような残酷な台詞(セリフ)に、咄嗟に顔を上げていた。