部屋の中央から漂う夕餉の匂いは、この数日質素な食事を強いられた身を誘惑した。気持ちはもちろんシュリーへの心配に苛まれ、その欲求に反発するが、やはりこの状況で体力を消耗している場合でないことは察せられた。仕方なく席に着き、懐に隠しておいた昼食のアル・パラタを食卓に並べ見下ろす。それは此処までの旅路が幻でないことを明らかに物語っていた。
銃声と共に溢れ出た金色の光。その波から煙のように消えてしまったシュリー。生きているのか、死んでいるのか――もしも銃弾が彼女に怪我を負わせていたら、痛みと傷はシュリーの身体を自由にはさせないだろう。例え無事に逃れていたとしても、ナーギニーの連れていかれた街まではまだ遠い。残されたラクダの脚ではいつ到達出来るものか……更に砂に隠された地下洞穴をどうやって見つけ、あの河をどのようにして渡るのか――考えれば考える程、出口の見えない渦に呑まれてしまう。が、もはや探せる術もない。シュリーからの連絡を待つより他はなかった。
銃声と共に溢れ出た金色の光。その波から煙のように消えてしまったシュリー。生きているのか、死んでいるのか――もしも銃弾が彼女に怪我を負わせていたら、痛みと傷はシュリーの身体を自由にはさせないだろう。例え無事に逃れていたとしても、ナーギニーの連れていかれた街まではまだ遠い。残されたラクダの脚ではいつ到達出来るものか……更に砂に隠された地下洞穴をどうやって見つけ、あの河をどのようにして渡るのか――考えれば考える程、出口の見えない渦に呑まれてしまう。が、もはや探せる術もない。シュリーからの連絡を待つより他はなかった。



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