【砂の城】インド未来幻想

 広大な面積を有するとはいえ、これだけの部屋数を持つともなれば、やはり広さを要求するのは無理というものだが、それでも一人では十分と思われるスペースを誇っていた。

 高い天井の真中では三枚羽のファンがゆっくりと回り、閉め切りで少々濁った空気を掻き混ぜている。その真下にはきめ細やかなペルシャ絨毯が敷かれ、一足(いっそく)立ちの丸テーブルに椅子が二脚、奥の壁際には天蓋付きの寝台と可憐な鏡台が置かれている。対する逆側の角には仕切られた小部屋があり、大理石の化粧台と素材の同じバスタブが小綺麗に並べられていた。

 壁を彩る淡い植物の紋様、正面に配された縦に長い三枚の窓は、いずれも色硝子(ガラス)や細かな鏡で縁取られ、星のように瞬いている。その外には小さなバルコニーがあり、東南の尖塔(ミナレット)が驚くほど近くに見える。真中の一番大きな窓から出入りが可能であったが、ナーギニーはその内側で空を仰いだものの、バルコニーに出てみる元気はなかった。