いつものように黒の高級な車に私が手招きする。



「うるる様どうぞ。」

「ああ。ありがと」



向かう先は私立高橋高校。
ここの高校は、お嬢様やうるる様みたいな、つまり偉い人が通う学園。



車で20分くらいかな?
学園の駐車場に到着。
駐車場って言っても、車200台以上かな?止めることができるね。



そうだよ?すごく広いの。



駐車場に着くと私は先に車から降りてうるる様の乗っている方へ行きドアを開ける。



「うるる様足下に気おつけてくださいね」

「……そんな心配しなくても大丈夫だ…」

「うるる様が大丈夫でも私が大丈夫じゃありませんので」

「…ッチ…」



は?ツンデレ?可愛すぎだろ



「うるる様、舌打ちは良くありませんよ」



私はどんな反応するのか知りたくなりそんなことを言ってしまう。




「……ごめん…………」




え? 

待って、待って

は?



そんな事言われたら反応に困るんですけど
少し謝らした罪悪感があったのですぐ否定した



「だ、大丈夫ですよ!?すみません…言い方キツかったですか?……」



私は少し悲しそうなうるる様が心配で気づかなかった。





上目遣いになってる事を…………





その瞬間うるる様はみるみるうちに顔が赤くなっていく。



「風邪ですか!?大丈夫ですか!?」
 


焦った私はガシッとうるる様を掴んでしまっていた。



「い、いける……」



ホントかな?
でも無理に聞いても困らせるだけか…



私たちはギシギシした空気の中門をくぐった




その瞬間………


うわわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
きゃあーーーーーーーーーーーーーーー!!



悲鳴?
耳がキーンってした
うるさすぎ。思わず耳を塞いだ



そう思ったのは私だけじゃなかったみたいで隣のうるる様も顔をしかめて耳を押さえてる



……ッチ…うるるの耳が壊れるだろクソが



そんなふうに思っていたら……



「り、りりあ様ー!!!!今日も素敵ですわーーーーー!!!!!」

「り、りりあ様!!今日も美しい!!僕たちと話してほしいーー!!」




はぁ
だからこの学園に来るのが嫌いなんだめんどくさい。



私は自分でも気がつかなかった
自分の顔がひきつってたことに……



とにかく、教室に行くか



「うるる様、教室へ向かいましょう」



ニコッと微笑むと



「ぎゃーーー!!りりあ様が喋ったー!」

「声まで美しいな……」

「わ………笑ったぞ!?」




私って執事なのにどうして様呼びなのかしらね?ここの生徒の考えることはわからないわ



「りりあ、早く行こ」

「はい。かしこまりm……」



理解できなかった。だってうるるが私の手を握ってる





は?嘘でしょ…

なんで?意味がわからないけど……

嬉しすぎて顔が熱い…




でも何でこんなことしてるのかしら
うるるは何を考えてるの?



そんなことを思っていたらいつのまにか廊下を歩いていた。



廊下でも止まらない私たちへの視線。
もう、意味わかんない



「りりあ」

「はい?どうされました?」

「今日"も"俺から離れるなよ?」



いつも学園に来ると離れるなと言う。
私はうるるの専属執事なのになんでわざわざそんなことを言うのかわからなかった。



とりあえずいつも通り返事をする。
耳元で………



「うん。わかったわ」

「!?!?!?」



あら?混乱したロボットみたいになってるじゃないガチガチしてるわね。



「おーい!りりー!」



…………あーあ………最悪……
本当にこの学園嫌いだわ………





私の事をりりーと呼ぶのは1人しかいない。



「………樹………」



多分この場にいるみんなが思っただろう



"あからさまに嫌な顔するじゃん"



そう。私は樹が好きじゃない。
むしろ……きらい。



「今日も相変わらずの美人だなぁ!」

「うるせぇよ」

「こぇー」



周りの人達が顔をひきつってる
多分それくらい低い声で一言言ったと思う。



でも樹は怯えるどころかニコニコしてる
きもちわりぃやつ  



「りりあ?」

「どうしました?うるる様」

「うわー猫被りおるぅ」

「………」

「無視!?ひど!」



若干涙目の樹は置いておいて 



「俺以外の人と喋らないで?」

「うるる?」

「頼むから、俺以外の男見ないで?」

「………え?………」



ボッと顔が赤くなったのを肌で感じた 



「僕を差し置いてイチャイチャすんなやー」



もうこの際こいつの言葉にいちいちかまってられない



どうしよう?
なんて答えるべき?




1、はい。一生貴方を見ます

2、え?それはできません。

3、逃げる





………………………
……………



答えは決まった。



「私は最初から最後まで、うるるしか見てませんよ?」



私にとってこの恋は最初で最後。



その言葉にうるるも樹も目を見開いている



うるるはすぐそっぽを向いて
樹はポカンを口を開けている





キーンコーンカーンコーン



「そろそろ一時間目始まりますね。」

「そうだな」



この学園は主人と執事、それぞれの授業を受ける。



私たち執事は執事の勉強を
主人様たちは主人の勉強をする。



クラスも違えば、学年だって
もっと言うのなら校舎も違う。



だから次会う時は放課後。
今さっきうるる様と離れない約束は守れないね……。



申し訳ないから学校終わったらイチャイチャしよ



私は自分の校舎に向かった
歩いていたら"ある人"に声をかけられた


「りりちゃん!おはよ♪」

「おはよ。愛華」


この可愛らしい子は私の親友って言っていいね


愛華(あいか)は私と対等に(?)
に喋れる子。


めっちゃいい子なの!


私、大好き!


「りりちゃん!教室行こ〜」

「うん。そうだね」


ガラガラと教室に入ると


「「「おはようございます。りりあ様」」」

「ごきげんよう」


ニコッと返すとみんな顔真っ赤


なんか風邪流行ってんの?


その時心配で気づかなかった
隣で愛華が呟いてることに


「この無自覚……」

「…なんか言った?」

「なんも言ってないよ♪」


そんな会話をしていたら



ガラガラ



先生が入ってきて


「みんな座ってー」


めんどくさそうにするこの人は私たちの担任



今日の一時間目は
す、う、が、く、…………



数学!???



一番嫌いなんだけど………
もうヤダ………


それ以外は100点取れるのに
数学はホント無理


過去に私は数学12点14点など30点以上取ったことないの。


いつも惜しいのよね〜


「愛華、私寝る」

「ダメだよ!私も頑張るから一緒に頑張ろ?」

「……やだ……」


「……可愛すぎない?…」

え?何か言った?
まぁ気のせいか


「…これはうるるくんも惚れるね。でも……ちょっと羨ましい………りりちゃんが取られたみたいで………」


愛華。今日大丈夫かな?
ずっとひとりでボソボソ呟いている



結局私は頑張って数学の時間を乗り越えた!


自分を褒めたい!!
りりあ、よく頑張った!


「愛華、私頑張った?」

「うん!頑張った!偉い偉い!」


えへへと笑ってみせた


あれ?気のせいかな?心なしかみんなの顔が赤い?





キーンコーンカーンコーン



2時間目が始まった。
私は実は言うと物凄く眠い


授業をちゃんと受けなくても点数は取れる。
でも、うるるが……


[授業をちゃんと受ける人は輝いて見えるから尊敬してる]


……って


こんなの……


受けるしかないじゃぁぁん!


はぁ…いつになったらうるるは私のこと
好きになってくれるのかしら…


ふと目に入ったグランドで体育をやっている生徒


……ん?待って?あのクラス……
うるる!?


バッっっと大きな音を立てて
行き良いよく立ち上がってしまった



し〜ん



「す、すみません…」


そう告げるとクラスのみんなは
「気にすることないよー」とか
「全然気にしてないよ!」など


責めるどころか、味方?になってくれた



ふうっと心の動揺を抑えて再びうるるを見る



相変わらずカッコいい……
顔だけじゃなく首席らしい…


ホントすごいよね


でも、正直言うとやめてほしい。
だって目立つじゃん…目立つと人気者になるじゃん?


つまり…



モテるのよ!!



うるるは私の旦那(?)なのにー!



「りりちゃん!りりちゃん!」

「………」

「りりちゃーん?」

「……っ…な、何?」

「問題!当たってるよ?」


あ、ホントだうるるのこと見すぎた


愛華に感謝しなくちゃね…


そしてこの先生……


私の大嫌いな先生……
もちろん樹より嫌い


「あら?近藤さん私の質問を無視するなんて
いい度胸ですね?」


誰が好きで無視するか
バカなのかこいつは


「バツとしてこの問題を解きなさい」


私は見逃さなかったこのクソ教師がニヤッと笑ったのを。



ほんとにバカだね。



恥をかくのはどっちかしら?
ふふっと笑ってから



黒板に向けて歩き出した
白いチョークで答えを何の迷いもなくスラスラ書いていく。



そして、



コトっそれはチョークを置く音。



「な、なぜ!!どうして正解しているの!?」

「大丈夫ですか?顔色が良くないように感じます」


言葉通り、教師の顔は真っ青
それに比べ世界一優秀な執事は涼しい顔


「こんなの、あ、あんまりよ!!」

「弱い犬ほど良く吠える、まさにあなたにピッタリの言葉のように感じますね?」

「うるさい!なんかインチキをしたのでしょう!?」

「耳が痛い叫ばないでください」


もう、興味が失せたように
冷たい目を教師に向ける


「そもそもこの問題今回のテスト範囲"外"ですよ?」

「……」

「テストの範囲の管理もできないなんて
教師、"失格"ですね?」

「…っ!あなたに何がわかるって言うのよ!!!!」


狂ったように吠える姿はまるで怯えるウサギのよう。


「何も知らないですし、知りたくもないですね」


一度捕まえた獲物は逃がさないような目つきまるでライオンのよう。



この時愛華以外のクラスメイトが一斉に思ったこと。



"近藤りりあを敵に回してはいけない"



私はそんな事を思われているのはもちろん知らない。
…って言うかうるると愛華以外にはどう思われてもいい。


「あんまり世界一を舐めなないで頂きたい」



私はこのバカ教師と話しても時間の無駄だと判断し、自分の席へ向かう



その間ずっと歯を食いしばっている教師。



自業自得。しーらない♪



「こ、この後は自習にし、します。」


その言葉を最後に教室を出て行った。


「さすがりりちゃん!今日もかっこいい!
美人だし、ほんとさすが世界一!」

「照れるね」


あんなの何もやってないのと同じ。



あのさ、知るわけないじゃない。
この様子をうるる様、貴方が見てたなんて