【 諏訪 芽衣子side 】


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土曜日の早朝。

今日は心霊現象 研究同好会に入会してから迎えた、初めての週末だ。



「おはよ、芽衣子さん」

「郁也先輩、おはようございます。 今日は一日よろしくお願いします」

「うん、こちらこそ」



家の前で挨拶を交わしたあと、駅に向かって歩き出す。



「昨日はよく眠れた?」

「んー…と、実は寝不足です。 楽しみでずーっとソワソワしちゃって、寝付くまでかなり時間がかかりました。 起きるのも目覚ましよりも早く起きちゃいましたし」

「あーわかるわかる、俺も同じだよ。 同好会の活動以外で遠出するって結構珍しいから、余計に楽しみだったのかも」


「ふふっ、そうなんですね。 じゃあもしかして、桜井先輩と梨乃先輩もそうだったりして」

「かもしれないね」



と話しながら、二人で笑う。


入会してすぐは上手く話せないこともあったけど、今はだいぶ打ち解けたように思う。

それは郁也先輩だけじゃなくて、桜井先輩や梨乃先輩ともだ。


……あの動画のことがあったから、しばらくは先輩たちに気を使わせちゃうかも……って思ったけど、全然そんなことはなくて。

三人の先輩はいつもと変わらずに接してくれて、いつも通りに笑っていた。

だから私も変に気を張ることなく、自然体で話をすることが出来たんだ。


今では冗談を言い合うことも出来るし、桜井先輩のお馬鹿な発言を問答無用で(たしな)めたりもする。

学年の違いはあるけれど、同好会に居る時に それを感じることは少ない。

良き仲間であり、良き友でもある。

まだ入会して数日だけど、それでもこの同好会は私の大切な居場所になり、メンバー全員のことが大好きになっていた。


なんてことを思いながら歩いていたら、あっという間に駅に到着した。