ホテルのロビーに入ると、知り合いに遭遇する。
「やあ!柊生君久しぶり。」
そう声をかけて来たのはこのホテルの御曹司、島津悟(しまづ さとる)
年は俺より2個上の先輩だが、この業界に入社したのはつい最近で社会人的には俺の方が先輩だ。
「お疲れ様です。夜勤ですか?
年明け早々忙しそうですね。」
にこやかに微笑を返す。
「何、どうしたの?うちのホテルに用でもあるの?」
「いえ、妹の同窓会がたまたまここだったみたいで、迎えに来ただけですよ。」
元自動車の営業マンだっただけあって、話し好きで年も近いせいか、何故かホテル関係の会合で会えば、必ずと言っていいほど俺に絡んでくる。
「へぇ。柊生君って妹いたんだ。絶対可愛いに決まってるじゃん。
今度紹介してよ。もうさぁ、この業界に入ってから忙しいし、出会いは無いしで本当寂しい毎日なんだよねー。」
知った事か。と、心で悪態をつく。
花は誰にも紹介しないし、誰にも触れさせ無い。
しかも、この女ったらしになんて死んでも会わせてやるかと思う。
「いえ、まだまだ妹は子供ですよ。先輩のお眼鏡に叶うはずもないです。お仕事中ですよね?
俺はあそこで少し待たせてもらうので、お気になさらず仕事に戻って下さい。」
表面上、あくまで和かに丁寧に接する。
一橋の看板を背負った俺は、子供の頃から仮面をかぶって生活している。
何が素なのか自分自身も分からなくなった。
素で居られる時は家族の前だけ…今は花と康生の前ぐらいだけだろうか。
「やあ!柊生君久しぶり。」
そう声をかけて来たのはこのホテルの御曹司、島津悟(しまづ さとる)
年は俺より2個上の先輩だが、この業界に入社したのはつい最近で社会人的には俺の方が先輩だ。
「お疲れ様です。夜勤ですか?
年明け早々忙しそうですね。」
にこやかに微笑を返す。
「何、どうしたの?うちのホテルに用でもあるの?」
「いえ、妹の同窓会がたまたまここだったみたいで、迎えに来ただけですよ。」
元自動車の営業マンだっただけあって、話し好きで年も近いせいか、何故かホテル関係の会合で会えば、必ずと言っていいほど俺に絡んでくる。
「へぇ。柊生君って妹いたんだ。絶対可愛いに決まってるじゃん。
今度紹介してよ。もうさぁ、この業界に入ってから忙しいし、出会いは無いしで本当寂しい毎日なんだよねー。」
知った事か。と、心で悪態をつく。
花は誰にも紹介しないし、誰にも触れさせ無い。
しかも、この女ったらしになんて死んでも会わせてやるかと思う。
「いえ、まだまだ妹は子供ですよ。先輩のお眼鏡に叶うはずもないです。お仕事中ですよね?
俺はあそこで少し待たせてもらうので、お気になさらず仕事に戻って下さい。」
表面上、あくまで和かに丁寧に接する。
一橋の看板を背負った俺は、子供の頃から仮面をかぶって生活している。
何が素なのか自分自身も分からなくなった。
素で居られる時は家族の前だけ…今は花と康生の前ぐらいだけだろうか。



