若旦那様の憂鬱

「花……。」

柊生は、下から上までサッと見て怖い顔をする。

「お疲れ様。忙しそうだね。」

花は何食わぬ顔でそう言って柊生を労う。

「露出度…京子さんに言ってあったはずだが?」
腕を組んで花を見据える。

「えっ?露出度少なめのドレスにしたよ?」

「足が出過ぎだろ……。」

険悪なムードになる前に、康生がすかさずフローを入れる。

「そこな、俺が今からコンビニ行って買って来てやる。タイツか?アミタイツなんてどうだ?」

「網タイツ⁉︎
馬鹿か!普通の真っ黒いタイツでいい。
秒で買ってこい。」

柊生はそう言って、康生をコンビニに走らせる。

花は睨まれたカエルの如く、縮こまり柊生が指定した椅子に大人しく座り、康生の帰って来るのをひたすら待つ。

「そんな生足で、極寒の外へ行くつもりだったのか?」
柊生はそう呆れる。
お客様用の膝掛けを花の足にかけてくれる。

顔は怖いけどやっぱり優しい…と、花は思う。

「うっかり忘れてたの。
写真撮ってたらバタバタしちゃって…。康君が車で乗せて行ってくれるって。」

「…そうか。」

まだ、怒ってるのか言葉少なだが、柊生は花の為に暖かいお茶まで入れて渡してくれる。

「ありがとう…。」

「帰りは…。」

「絶対、柊君に連絡するね。早めにするね。」
被せ気味にそう言って、柊生のご機嫌を伺い見る。柊生は花の隣の壁に寄りかかり一緒にお茶を飲む。

そこへ内線が掛かり呼び出されて、柊生は仕方なく出て行った。