若旦那様の憂鬱

柊生も番頭さんも団体客の対応で、出払っていたので、自分で電話しようと裏からカウンターに入ろうとする。と、何故か康生がそこにいた。

「康君何してるの?」

「おお、花!!誰かと思った。俺は今、隠れてるんだ。写真撮りがキリがなくて…もう、限界だ。」
そう言って花の衣装をマジマジ眺める。

「へぇ。いいね!ちょっと綺麗なお姉様っぽい。
似合ってるよ。」

ぽいって何?っと花は思いながら、

「ちょっとタクシー呼びたくて、直通電話借りに来たの。」

旅館には直ぐにタクシーが呼べるよう、直通電話があるのを花は知っていた。

「どこまで行くんだ?暇だし俺が乗せてってやるよ。」

「本当に?助かる。
駅前のホテルなんだけど、同窓会が6時からあるの。」

「分かった、いいよ。だけど、その足、生足だよな?
外、極寒だぞ?」

ああ、バタバタしてうっかり忘れてたと花は思う。

そこへ接客を終えた柊生が戻って来る。