若旦那様の憂鬱

ロビーに降り立つと、振袖姿の新成人が数多くいて旅館内は賑わっていた。

うちの旅館でも、いくつか新成人の集いがあるらしい。

花は一旦、詩織と別れて着物を脱ぐ為に旅館に戻って来た。

ロビーには何故か新成人と写真を撮る康生がいて、柊生の姿は無い。

「おーい。花、お帰り。」

目敏く花を見つけた康生がニコニコ顔で近付いて来る。

「康君、どうしたの?」

「どうしたじゃないよ。俺だって花と写真撮りたいと思って待ってたんだよ。」
そう言いながら、他の新成人が列を成して写真待ってるみたいだけど?と、花は思う。

「康君と、写真撮りたい人が待ってるよ。私はいいから行っておいでよ。」

「俺は、花と撮りたかったんだってば。兄貴が逃げるからいけないんだよ。」
 
どうやら、柊君は康君を囮にして逃げたらしい。
とりあえず、どうしてもと康生がせがむので、列を成してる人達にペコペコとお辞儀をして、一枚だけ撮って花は早々茶室に急ぐ。

もう1分でも1秒でも早く脱ぎたい。

やっと茶室に逃げ込んで帯を解こうと試みる。

意外と固く縛られていて帯留めすらも解けない。

うーん。トミさん解けないよ。
キツく縛り過ぎじゃない?
 
悪戦苦闘するがうんとも寸とも結び目は解けない。

どうしよう…。
と、思ってるところに、