「それで、どうしたんですか?」
『花ちゃんは結婚して、幸せに暮らしているから邪魔するなと諭したよ。あの男の愛は歪みまくって、分かりにくいだけだったんだ。
結局、何度も探し出してお金を打診しに来たのだって、寂しさのせいもあったみたいだ。
翔子さんとも話したよ。申し訳なかったと謝っていたらしい。
だけど、花ちゃんや女将に与えた傷は謝られた所で消えるものでは無いし、許せるものでは到底無い。あの男が2人の幸せのために出来る方法は、二度と2人に近付かない事だ。そう話して、誓約書も交わしたからもう大丈夫だ。』
「それで、あの人は静かに帰ったんですか?」
『ああ、大人しく帰って行ったよ。
だから、いつ帰って来てももう大丈夫だよ。』
「…そうですか。
いろいろとありがとうございました。せっかくなので、後2、3日花と遊んでから帰りたいと思います。
僕も仕事ばかりで花に幻滅されたく無いので。」
珍しく柊生が感情を出して話してくる。父は驚くと共に、そこに柊生の本音が全て集約しているのだと納得した。
『じゃあ、出来るだけ早く帰って来てくれ。お前がいないと書類に会議に打ち合わせと、1人じゃこなしきれやしない。』
困った風にそう親父が言う。
「康生を上手く使って動かして下さい。
それでは、連絡ありがとうございました。」
柊生は素っ気なく電話を切る。
「花、もう大丈夫だ。いつ帰っても問題無いし、
誓約書まで交わしたんだから2度と花の前には現れないよ。」
「本当に?そんな簡単に帰ったの?」
そんな事ってあるんだろうか?と、
花はまだ半信半疑だった。
「寂しくて花と暮らしたいと思って来たらしい。けど、花は誰にもあげられない。
花は未来永劫俺の隣と決まっているから。」
そう言って柊生は今日1番の笑顔を見せる。
「…勝手に居なくなってごめんなさい。
もう2度とどこにも行かないって約束します。」
花は今回の事を反省してそう言う。
「じゃあ、どこか行きたい時は俺も絶対連れてく事。
それだけ守ってくれたら後は自由にしてくれていい。」



