若旦那様の憂鬱

2、3回のコールの後、花が電話に出る。

『もしもし、柊君?お疲れ様。どうしたの?』

「花、お疲れ様。今どこ?学校は終わった?」
柊生が口早に聞く。

『今、バス待ってるところ。
予想通り雨が降って来たからスーパー寄って買い物したらすぐ帰る予定だよ。
どうしたの?』

柊生の珍しく慌てた感じを聞き取って、花も早口で言う。

「花、悪いんだけど…俺宛の荷物が届くはずなんだ。すぐに中身を確認して欲しいから、一度家に帰って貰っていいか?
その代わり夕飯は、何か用意するから。」

柊生はひとまず、優しい嘘を付く事にする。

花がパニックになる事を避けたい。

1人で待つ怖さを味わいさせたく無い。

後から詫びるから許して欲しいと心で思う。

『分かった。すぐ帰るね。
夕飯は大丈夫だよ。まだ冷蔵庫に何かあるから、有り合わせで作るよ。
それより柊君大丈夫?あんまり無理しないでね。』

「ああ、ありがとう、……花、愛してる。」

いつに無く真剣な柊生の声に、花のキュンと心臓を鷲掴みにされる。

『えっ⁉︎あ、愛してるよ…じゃ、また後で。』
小さな声で早口でそう言って、慌てて受話器を切られてしまう。

柊生はフッと笑い、少し冷静を取り戻す。

後は弁護士に連絡を入れて、どう対応すべきかアドバイスをもらう。

弁護士もすぐ駆けつけてくれる事になった。