若旦那様の憂鬱

ひとまず男を応接室に連れて行く。

「こちらでお待ち頂けますか?今、上の者を連れて参りますので。」

柊生は通常の接客で対応しながらも、視線は鋭く男を観察する。

「只今、冷たい飲み物をお持ちしますので、少々お待ちください。」

「ちょっと待て。あんた一橋の人間だな?
翔子の旦那の息子か。
花を知ってるよな?お前の義妹だろ。花は今どこにいる?翔子に今更興味は無い。俺は花に会いに来た。」
柊生の鼓動は人知れず乱れる。

花を守らなければ、絶対にこの男を花に合わせてはいけない。

頭の中でシグナルが鳴り響く。

「申し訳ありません。一橋の者ではありますが、
父が再婚した時に実家を出ていまして、詳しい事は分かり兼ねます。
今、父を呼びますのでお待ち頂けますか。」
そう伝え、一旦部屋を出る。

足速に事務所に戻り、そこに居合わせたスタッフにお茶出しを頼み、父に内線をかける。