若旦那様の憂鬱

返事を書く。

『花へ。
いつも美味しい弁当を作ってくれてありがとう。
いつも、笑顔でいてくれてありがとう。
いつも、優しさをありがとう。
数え切れないありがとうが溜まってまだまだ言い足りないから、2人の時間が出来たら沢山言いたい。』

と書いて弁当箱の裏に貼り付ける。

このやり取りは不思議と心が整う。
どんなに疲れていても、午後からまた頑張ろうとリセットされる。

午後は観光協会の会議に参加、まだ知られていない観光スポットやお店、観光客を呼び込む為の最新スポットを聞く事出来る唯一の会議だ。

この場で知る事が出来た場所は花とのデートでも活用出来るので、熱心にメモを取る。

会議終わりに隣町の観光協会のスタッフに声をかけられる。

「若旦那、結婚おめでとう。
俺なんか最近知ったとこでびっくりしたよ。」

「ありがとうございます。
今年の春先に、とりあえずだけ入籍させて頂きました。また、仕事との頃合いを見て式をあげたいと思っていますので、その時は是非。」
そうにこやかに笑って受け流し先を忙しく。

今日は午後から観光客の団体様を2組受け入れる予定だ。その前に個人客のチェックイン準備を済ませておきたいと思い、足速に旅館に戻る。