若旦那様の憂鬱

「しゅ、柊君…その…まだ、外、明るいし、は、恥ずかしいよ…。せ、せめてシャワー、だけでも……。」

そう言って、花は同じようにベッドに転がされた茶トラを見つけ、抱き寄せ柊生を見上げる。

獰猛な雄になった柊生は、的を射る時の目に似ていると、花はぼんやり思う。

怖い…と、言うより綺麗だ……。

しばらく、2人無言で見つめ合う。

目をつぶり、少しだけ電圧を下げた柊生は

「分かった…シャワーだけ許す。」
そう言って、花をまた抱き上げてお風呂場に向かう。

「一緒に入るか?」

「いや、いや、1人で入れます!!」
それは絶対無理っと花は抵抗して、抱きしめて持ってきていた茶トラを柊生に押し付けて、なんとか1人お風呂場に逃げる。

なんでこう、色気ダダ漏れの柊君には、逆らえないんだろう…。

そう思いながら、シャワーでゴシゴシくまなく洗う。

心はとっくに決まってる。

緊張で足が震えるのは未知の世界だからであって、柊君が怖いわけでは決して無い。

女は度胸!
心の中で何度となくそう唱える。

お風呂場を出て身体を拭く。
ちょっと待って……
これは…タオルだけ巻いて出るのが正解?

いやいや、そしたら直ぐ裸見られちゃう訳だし…それは無理!

と、とりあえず、下着とブラウスは着るべきでしょ……

そういう事に疎い花は、何が正解で何が不正解か分からない…

経験豊富な詩織ちゃんに心得を聞いておけば良かった……。と、花は後悔した。

色々迷った挙句、結局元の状態に着直した花は、
フーッと息を吐き恐る恐るドアを開ける。

「うわっ!」

廊下の壁により掛かって、腕を組んだ柊生が目の前にいてびっくりする。

「もう、待ったは無いからな。」
そう言って、抱き上げられてまたベッドへ連れて行かれる。