若旦那様の憂鬱


「そんなに、重要な事だった?」
花は不思議に思い聞いてみる。

「かなり…俺にとっては重要な事だった。
花を思う気持ちを自覚した頃だったし…花は康生に1番懐いてたから、てっきり康生の事が好きなんじゃないかって…思ったりして、大人気無く康生に当たったりもした。」

知らなかったあの頃の柊生の気持ちが聞けた。

花は嬉しくなり、思わずふふっと微笑んでしまう。

「馬鹿にしてるのか…?」
柊生は不服な感じて花に聞く。

「ううん、違うよ。可愛いなぁって思って。
柊君、あの頃からずっと好きでいてくれたんだね。嬉しい。」

ふふっと笑う花の方がよっぽど可愛いだろ、と柊生は思いながら、花を横目でチラッと見て運転を続ける。

「とにかく、あの頃から花が1番気になる存在で、
何が好きで何に興味があって、何を大事にしてるのか、花の一挙手一投足が気になって仕方が無かったんだ。」

開き直ったような顔をして、柊生はため息混じりにまた息を吐く。

カッコ悪いな俺……弟にまで嫉妬して。

自分で自分が嫌になりそうだ…そう思う柊生とは裏腹に、花はトラ猫のぬいぐるみを抱きしめながら、愛されている幸せに浸っていた。