若旦那様の憂鬱

「どれ運べばいい?」

「こっち側の3箱お願いします。」
花は康生にそうお願いして、自分はボストンバックと茶トラを抱える。

「なんでミケは連れてかないんだ…。」
なぜかそう康生が言うから、

「ミケちゃんはそのダンボールの中だよ。」
と、伝える。

「ミケが可哀想だろ。」

そう言って、ダンボールからミケ猫のぬいぐるみを取り出し花に渡す。
花が持っていたボストンバックを奪い持って行くダンボールの上に乗せる。

ふふふっと花は笑う。

まだあの時の兄弟ゲンカは続いているんだろうか。

「このぬいぐるみくれた時に、なぜか猫の種類で柊君と揉めてたよね。覚えてる?」

「覚えてるどころじゃないぞ。俺らはどのプレゼントが花に相応しいかって、毎年吟味して、無い知恵絞り出して選んでるんだ。」

「そうだったんだ…。康君も柊君も女子には慣れてるから、きっと、たいした事じゃないんだと思ってた。」

「妹のプレゼントなんて1番悩むに決まってるだろ?」
康生はそう言って、花の額を軽くはじく。

「プレゼントの評価が目に見えて分かるからな。ある意味、彼女に選ぶよりも緊張するんだ。」

「そうだったんだ…毎年欠かさずプレゼントありがとね。」
花はふふふっと笑って康生に頭を下げてお礼を言う。

「…やめろって言ってるだろそう言うの…。」