若旦那様の憂鬱

後半も審査は滞り無く進み、花の友達の番になる。

確か名前は……詩織ちゃん、花とは中学から大学まで一緒の筈だ。

花の事を助けてくれる姉御肌で、花が言うには恋多き女子らしい。

日頃から花がお世話になってる事だし、ちょっと甘めの採点をしようと思いながらステージを見る。

堂々とした足取りでステージの中央を闊歩する姿は、なかなかに度胸がある事が良く分かる。

花がこうして変な男に引っ掛からなかったのは、この詩織ちゃんの功績のお陰だろうと敬意を込めて採点する。

こっちを見てニコリと笑顔を振り撒く彼女は、俺に向かって手まで振るから、これは余り採点を甘くすると周りから言われそうだと、若干私情を抑える事にする。

特技を披露するという段階になって、なぜかバトミントンを出してくる。

嫌な予感がするな…と思って、唾を飲んでみていると、花が指名されてびっくりしながらもステージにいそいそと花が出てくる。

こうも花の事になると違うものかと思うほど、心拍数が跳ね上がる。
今日の花はスーツの上に5センチヒールのパンプスだ。
転びはしないかハラハラする。
それでもカーディガンは脱ぐなよと祈り、親が子を見守るような心境で、瞬きも忘れて花を見守る。

何とか無事にバトミントンをやり終えてホッとする。
そそくさと退場していく花と目が合い、お互い微笑み合う。