若旦那様の憂鬱

近くの顔馴染みの喫茶店で昼食を食べ、知り合いの店で花の為に、黒の長めのカーディガンを買う。

これで安心だと、ホッとする。

「ステージには綺麗な人ばっかりなのに、私のお尻なんか気にするのは柊君ぐらいだよ。」
また笑いがぶり返したのか花はクスクス笑い出す。
 
何でこんなに無防備で、自分に対しての評価が低いのか心配になる。

「アイツ、何を言ってきた?」
さっきから気になっていた事を聞く。

「前嶋さん?お兄さんと婚約したのって聞かれたから、はいって言っただけだよ?
後、お見合いの時に好きな人がいますって話してたから…それはお兄さんの事?って聞かれただけだよ。」

「お兄さんって言ってくる辺りが嫌みな感じだよな。」
そう言って牽制する。

「柊君だって、意外と前嶋さんには毒吐きそうで見ててハラハラする。」
花が心配そうな顔をする。

俺がそんなミスする訳ないだろと思いながら、
「最大のライバルだと思ってるから。これでも敬意を込めてるつもりだ。」
そう言って笑う。

「ヤバい花、時間無いかも急ぐぞ。」

そう言って、手を繋ぎ軽く早歩きで急ぐ。

ギリギリ10分前に着き、何食わぬ顔で審査員席に座り事なきを得る。