若旦那様の憂鬱

花の事を思いながら、指定された審査員席に着く。

二次審査は滞り無く始まり、審査票にチェックを入れながら、裏で働く花を思う。

今日のスーツ姿の花は新鮮で似合っていた。

だけど、どうしてもタイトスカートが気になるし、他の男も、前嶋もそんな目で花を見ているかもと思うだけでイラっとする。

見え隠れする舞台裏に目をやると、花が次の出番の候補者を励ましている微笑ましい姿が目に入り、自然と笑顔になってしまう。

後、何人だ?
正直何の興味も無いし、誰が決まっても特に問題は無い。

ああ、花の友達が参加してたな。少し加点してもバレないだろう…。

審査員としては問題な感じで適当に採点していく。
隣を見れば、商店街の大御所ばかりで…

本当に何で俺がここに居るんだと思いながら、内心投げやりな気持ちになる。

「若旦那、お宅の花ちゃん出せばきっといいところいけたのに。」

隣の商店街の重鎮、漬物屋の社長が俺に話しかけてくる。

そんな事は俺が1番分かってる。と思いながら、表上は穏やかに、
「花は、表だって出る事が苦手なので無理ですよ。
候補者のように人前ではきっと堂々と喋れません。」
そう謙遜して話を終わらせる。

「いやあ、でも見ない間に花ちゃんも女っぽくなったねー。」

どこ見てるんだ…このエロ親父が!!

イラっと思うが表情には出さず受け流す。

花がこちらの目線に気付いたのか、小さく手を振ってくれる。可愛いなと、その仕草にホッコリしながら微笑み返す。

「結婚するんでしょ?婚約したんだって?」
隣の重鎮はまだ花の話を振ってくる。

さすが会長、噂は既に商店街中に行き渡ってるみたいだな。と、ほくそ笑む。

「ええ、近々。」
それだけ言って穏やかに笑う。

「いいねー。若い奥さんで。」

イヤらしい言い方で花を穢すなと咎めたいのを我慢して苦笑いする。