若旦那様の憂鬱


「お買い物中にお声がけしてすいませんでした。3月のイベントに向けて、またお手伝い出来る事があればご連絡下さい。」

これでもう用は済んだと、柊生は爽やかに表の顔でそう言い繕って、その場を離れようとするが、さすが会長一筋縄ではいかない…。

「実はね、今回のミス温泉美人コンテストなんだけど、候補が集まらなくて困ってるんだよねー。
どう?花ちゃん、参加してみない?
グランプリは車が貰えるんだよ。」

「ええっ⁉︎私がですか⁉︎」

まさか勧誘されるなんて思ってもなかった花はびっくりする。

すかさず柊生は花を守る様に、
「花はまだ学生ですし、僕の大事な人なので一目に晒したく無いんです。すいません。
知り合いで誰か誘ってみますので、花は勘弁して下さい。」

「そうかい。出ればグランプリ間違い無しだと思ったんだけどねー。
まぁ、誰か当たってみてよ。」
会長が柊生の肩をバシバシ叩く。

「もしも、ボランティアが必要だったらお手伝いしますので、お声がけ下さい。」
花はにこりと笑ってそう伝える。

「本当?それは助かるよ。
出来るだけ若い力で盛り上げていって欲しいからね!!
後、それが上手くいったらミセス女将さんコンテストとかも考えてるからさ。
湯の花の商店街の活性化の為、よろしく頼むね。」

「はい。出来る事ならなんでもお手伝いしますので、よろしくお願いします。」
花は、ニコニコと二つ返事でそう言うから柊生は心配になる。

あんまりこの人に良い顔すると、つけ込まれてこき使われるぞと思ってしまう。

「すいません、こんな所で立ち話も何なので、またどなたか候補が決まったら連絡させて頂きます。」
一礼して柊生は花を連れ、愛想良くその場を離れる。