「あ…」

正門を潜ったその先に、先週金曜日に偶然ぶつかったあの女の子がいた。

発見したのが少し嬉しかったのか、俺は不意に声が漏れた。


「どうしたの?蒼真君。

ああいう子がタイプなの?」

近くにいる女子が俺に訊いてくる。

「違うよ」

「あはは、まぁそうだよね。

何も魅力も無いよね、あんな子。

そんな子が蒼真君のタイプになるわけないか」

と、女子たち2人が嘲笑っている。

なぜかそれに無性に苛ついた。

…何でだろう。

ただ全然知らない女の子が笑われているだけ。

俺が笑われているわけでもないのに。

「じゃあね、蒼真君。
勉強頑張ろうね」

「うん、お互い頑張ろう」


下駄箱に着いた所で、ようやく女子たちと別れられた。

今度はどんな女子たちが話しかけてくれるのだろうか。