馬鹿みたいに、またしても、何で?と問うと、

「うち、父親が弁護士で、母親が画家だから、周りからのプレッシャーが酷かったの。あたかも、勉強ができて、芸術の才能もなければいけないみたいに思われて。ヨガのインストラクターになりたいなんて言えば、何言われるか。でも、あることがきっかけで、自分の好きな道を行けばいいって思えた」

「あること?」

すると、彼女は少しイタズラな表情で、

「失恋」

そう言った。

こんな素敵な人を振る男が他にも居たのかと、勝手な話だが、誰かもわからない相手に腹が立つ。