僕らは、海水浴シーズン前の誰も居ない海へ向かった。

青山は、終始笑みを浮かべていてくれたので、覚悟を決めて、

「あのさ…大事な話があるんだけど」

告白する、ということが、これほど勇気の要るものとは知らなかった。

きっと、これまでのどんな場面より緊張しているだろう。

「どうしたの?」

あの頃とは違う、静かな口調で問われ、

「これ…まず受け取ってほしいんだけど」

「え?どうして?」

青山は、初めて戸惑いの表情を浮かべた。