今夜も君を独り占め。

そしてまんまと蒼の思い通りに……

話す内,会う内。

早い話が,惚れた。

んだよなぁくそ。

俺は実は,Mだったのだろうか……



「あれ,なに考えてるの?」

「……流石に,俺を恋人呼びするくらいだから……もうここに人連れ込んだりしてないよな?」



もし,俺以外がいるならそれは。

吐きそうなくらい気分が悪い。

蒼はきょとんとして,目を瞬かせた。



「連れ込むって……ここ?」

「他にどこがあんだよ」

「あははっ」



蒼は心底おかしそうに,そしてどこか嬉しそうにして俺の横に倒れる。



「妬いた? あつ」

「そーゆんじゃ……」

「あつだけだよ。ここに入ったのは」



蒼は言葉を失う俺の横で部屋を見渡すと,あぁと溢した。



「何もないみたいに見えるけど。俺には何もないことが大事なの。だから,あつ以外は招いてあげないよ」



さらりと俺の前髪を撫でる。

そして



「俺が好きなのは,大事なのは。あつだけだから」

ーそうでしょ?



そう言って,蒼はまた満足そうに笑った。