おそらく、彼がそういう話題ばかりを選んで話をしてくれているに違いない。

 逆に、わたしが出来る話は面白い内容がほとんどない。

 だから、彼は面白くないはず。それどころか、不愉快になっているかもしれない。

 それでも、彼はポーカーフェイスできいてくれている。

 宮殿の小食堂のテーブルは、大食堂のそれよりもずっと小さい。それでも、十人は座れる長テーブルが三つある。

 その一つに向かい合わせで座り、彼はかならずわたしの目を見る。もちろん、わたしも見る努力はするけれども、彼が美しすぎてキラキラしすぎるからつい目をそらしてしまう。

 そういう気恥ずかしくも楽しい食事に慣れてしまったのはすぐだった。そしていまは、フランコがいなくなって、寂しい思いをしている。

 だから、フィオレにいっしょに食べてくれないか、とお願いをした。